経済学
210 語
- 貧困ラインひんこんライン
貧困ラインとは、最低限の生活を営むために必要な所得や支出の目安を線引きした基準のことです。これを下回る世帯を貧困世帯とみなします。国や時代によって設定方法は異なり、相対的貧困(社会の中央値からの距離)と絶対的貧困(生存に必要な水準)を区別します。
- ピーク・エンドの法則ピークエンドのほうそく
ピーク・エンドの法則は、体験の評価は全体の平均ではなく、最も強い瞬間(ピーク)と終わり方(エンド)で決まりやすいという法則です。カーネマンの経験的效用研究です。医療、サービス設計に応用されるといった側面が挙げられます。
- フィッシャー効果フィッシャーこうか
フィッシャー効果は、長期的に名目金利は実質金利と期待インフレ率の和に近づくという関係です。インフレ期待が上がれば名目金利も上がります。貨幣中立性の金利版です。
- フィリップス曲線フィリップスきょくせん
フィリップス曲線は、失業率と物価上昇率(インフレ)の短期的なトレードオフ関係を示す概念です。当初は逆相関とされたが、期待形成を入れると長期では垂直になりうるとされます。スタグフレーションで疑問視、中央銀行の政策判断に影響、供給ショックでシフトといった側面からも、この概念が研究されています。
- 双子の赤字ふたごのあかじ
双子の赤字は、財政赤字と経常収支(貿易)赤字が同時に拡大する現象です。国内支出が強く輸入が増えると両方が悪化しえます。為替・金利政策の制約になります。
- フリーライダーフリーライダー
フリーライダーは、費用を負担せずに他人が提供する便益を享受する行為者です。公共財の供給不足の原因です。税制や会費で強制的に費用分担する仕組みが必要になりえます。
- フレーミング効果フレーミングこうか
フレーミング効果は、同一の情報でも提示の仕方(枠組み)によって判断が変わる現象です。90%生存率と10%死亡率は同じだが反応が異なります。プロスペクト理論の参照点と関連です。
- 分業ぶんぎょう
分業とは、作業を細かく分け、各人が専門の工程を担当する生産の仕組みです。アダム・スミスが針の製造例で示したように、分業は熟練と効率を高めます。一方で、工程ごとの依存関係も深まり、一つの工程が止まると全体に影響が広がります。
- プリンシパル・エージェントプリンシパルエージェント
プリンシパル・エージェント問題は、依頼者(プリンシパル)と代理人(エージェント)の利益が一致しないときに生じる契約・監視の問題です。株主と経営者、患者と医師などです。モラルハザードと情報の非対称性が中心的な位置づけです。
- プロスペクト理論プロスペクトりろん
プロスペクト理論とは、人が利益と損失を絶対額ではなく、基準点からの変化として評価し、損失を同じ大きさの利益より重く感じる、という理論です。カーネマンとトベルスキーが提唱しました。期待効用理論が仮定する「常に合理的な選択」とは異なる、実際の判断のずれを記述するモデルとして大きな影響を与えました。
- 平均費用へいきんひよう
平均費用は、総費用を産出量で割った1単位あたりの費用です。固定費と変動費の両方を含みます。限界費用と平均費用の関係で企業の損益分岐が読めります。
- 変動費へんどうひ
変動費は、産出量に応じて増減する費用です。原材料、出来高給、電力などといった側面が挙げられます。短期の供給停止判断では、価格が平均変動費を下回ると操業を止めります。
- ベルトラン競争ベルトランきょうそう
ベルトラン競争は、寡占企業が数量ではなく価格を同時に設定するゲームモデルです。同質財・一定費用では限界費用価格に競り下げ、ジトナ結果(完全競争価格)になることが示されます。価格設定ゲーム、差別化があると価格競争は緩む、クールノー競争と対比といった側面からも、この概念が研究されています。
- 補完財ほかんざい
補完財は、一緒に使うほど価値が高まる財の組み合わせです。一方の価格が下がると他方の需要も増えます。交差弾力性が負です。
- ホットハンドの誤謬ホットハンドのごびゅう
ホットハンドの誤謬は、ランダムな連続成功のあと、次も成功しやすいと過信する誤りです。バスケの「手が熱い」感覚です。実際は独立に近い場合も多いが、人はパターンを見出します。
- 保有効果ほゆうこうか
保有効果は、自分が既に持っているものを、同じ市場価値の未取得品より高く評価する傾向です。売却価格>購入価格のWTA-WTPギャップとして実証されます。損失回避の一形態です。
- 禀赋効果ほんふこうか
禀赋効果は、行動経済学で議論される、所有が価値評価を高める効果の別表現(endowment effect)です。日本語訳は「禀赋効果」です。保有効果と同義で使われることが多いです。
- 貿易ぼうえき
貿易とは、国境を越えて財やサービスを交換することです。各国が比較優位のある分野に特化し、相互に取引することで、世界全体の生産が増えると説明されます。輸出と輸入は国際収支の重要な部門で、関税や為替レートが現実の条件を変えます。
- 貿易赤字ぼうえきあかじ
貿易赤字は、輸入が輸出を上回り、貿易収支がマイナスである状態です。国内需要の強さや通貨高、資源輸入依存などが背景になりえます。双子の赤字の一翼です。
- 貿易収支ぼうえきしゅうし
貿易収支は、輸出額から輸入額を引いた差額です。黒字は輸出超過、赤字は輸入超過です。為替、景気、産業競争力の鏡として注目されるといった側面が挙げられます。
- 摩擦的失業まさつてきしつぎょう
摩擦的失業は、職探しや転職の過渡期に一時的に生じる失業です。労働市場の情報摩擦やミスマッチによります。完全にはゼロにならないが、長期化しなければ問題になりにくいです。
- マネタリズムマネタリズム
マネタリズムは、物価は長期的に貨幣供給量で決まり、安定した貨幣成長規則が望ましいとする学派です。フリードマンが代表です。ケインズ的な積極的財政、金融操作に懐疑的といった側面が挙げられます。
- マネー乗数マネーじょうすう
マネー乗数は、中央銀行が供給する基礎通貨が、預金創造を通じて何倍の広義通貨になるかを示す係数です。準備率と現金保有比率で決まります。銀行システムの信用創造の仕組みです。
- 見えざる手みえざるて
見えざる手とは、アダム・スミスが用いた比喩で、各人が自分の利益を追う行動が、結果として社会全体の利益にもつながることがある、という考え方です。価格という信号が、ばらばらな情報を集約し、資源配分を調整する役割を果たす、というイメージです。一方で外部性や独占がある市場では、見えざる手だけでは不十分だと教えるのが現代経済学のスタンスです。