行動経済学
47 語
- 制御の錯覚せいぎょのさっかく
制御の錯覚は、実際には制御できない事象についても、自分に影響力があると感じる傾向です。ギャンブルや投資で「自分のやり方」に意味を見出します。過信と結びつきます。
- 選択アーキテクチャせんたくアーキテクチャ
選択アーキテクチャは、選択肢の提示順・デフォルト・情報の見せ方など、意思決定の環境を設計することです。ナッジの実装枠組みです。自由は残しつつ行動を形作ります。
- 選択過多せんたくかた
選択過多は、選択肢が多すぎると決定が遅れたり、満足度が下がったりする現象です。ジャムの実験で有名です。認知負荷と機会費用が増えます。
- 双曲割引そうきょくわりびき
双曲割引は、将来の報酬を割り引く率が時間軸に応じて一貫せず、近い将来ほど急に割り引くモデルです。今日と明日の差は大きいが、1年後と1年1日後の差は小さいです。先送りと自制の問題を説明します。
- 損失回避そんしつかいひ
損失回避は、同じ大きさの利益より損失をより重く感じる傾向です。プロスペクト理論の価値関数の特徴です。リスク回避行動や現状維持バイアスを説明します。
- 代表性ヒューリスティックだいひょうせいヒューリスティック
代表性ヒューリスティックは、典型的なプロトタイプに似ているかで確率や所属を判断する短絡法です。リンダ問題(連想の誤謬)の背景です。基礎率を無視しやすいです。
- 注意バイアスちゅういバイアス
注意バイアスは、特定の刺激(脅威・報酬など)に注意が固着し、他の情報処理が阻害される傾向です。不安障害では脅威刺激への注意バイアスが研究されます。行動経済でも目立つ情報への偏重が見られます。
- デフォルト効果デフォルトこうか
デフォルト効果は、提示された初期設定(デフォルト)を変更せずにそのまま受け入れる傾向です。ナッジの中核です。オプトインとオプトアウトで参加率が大きく変わります。
- ナッジナッジ
ナッジとは、選択の自由を残したまま、人々をより望ましい方向へそっと誘導する設計上の工夫のことです。デフォルト設定や表示のしかた、文言の変更などが代表例です。強制ではなく、選択の環境そのものを変える点が特徴です。
- 否定的バイアスひていてきバイアス
否定的バイアスは、同等の良い情報より悪い情報に注意と記憶を割く傾向です。損失回避と方向性は似るが、情報処理全般に及びます。メディア、評価、人間関係に影響といった側面が挙げられます。
- ピーク・エンドの法則ピークエンドのほうそく
ピーク・エンドの法則は、体験の評価は全体の平均ではなく、最も強い瞬間(ピーク)と終わり方(エンド)で決まりやすいという法則です。カーネマンの経験的效用研究です。医療、サービス設計に応用されるといった側面が挙げられます。
- フレーミング効果フレーミングこうか
フレーミング効果は、同一の情報でも提示の仕方(枠組み)によって判断が変わる現象です。90%生存率と10%死亡率は同じだが反応が異なります。プロスペクト理論の参照点と関連です。
- プロスペクト理論プロスペクトりろん
プロスペクト理論とは、人が利益と損失を絶対額ではなく、基準点からの変化として評価し、損失を同じ大きさの利益より重く感じる、という理論です。カーネマンとトベルスキーが提唱しました。期待効用理論が仮定する「常に合理的な選択」とは異なる、実際の判断のずれを記述するモデルとして大きな影響を与えました。
- ホットハンドの誤謬ホットハンドのごびゅう
ホットハンドの誤謬は、ランダムな連続成功のあと、次も成功しやすいと過信する誤りです。バスケの「手が熱い」感覚です。実際は独立に近い場合も多いが、人はパターンを見出します。
- 保有効果ほゆうこうか
保有効果は、自分が既に持っているものを、同じ市場価値の未取得品より高く評価する傾向です。売却価格>購入価格のWTA-WTPギャップとして実証されます。損失回避の一形態です。
- 禀赋効果ほんふこうか
禀赋効果は、行動経済学で議論される、所有が価値評価を高める効果の別表現(endowment effect)です。日本語訳は「禀赋効果」です。保有効果と同義で使われることが多いです。
- メンタルアカウンティングメンタルアカウンティング
メンタルアカウンティングは、お金を用途や出所ごとに心の中の別口座に分け、異なるルールで支出する傾向です。サラエヴォとティーバースキーが分析です。合理的な fungibility(代替可能性)に反します。
- モラルハザードモラルハザード
モラルハザードとは、契約のあと相手の行動が十分に見えない状況で、自分に都合のよい行動をとってしまうことです。保険や融資の場面でよく話題になります。保険に入ったあと注意がおろそかになったり、融資後にリスクの高い投資へ走ったりするのが典型例です。
- 誘惑の束ねゆうわくのたばね
誘惑の束ねは、やりたくない行動と好きな行動をセットにして、実行率を上げる工夫です。ジムで好きな番組だけ見るなどです。自制のコストを下げる行動テクニックです。
- 楽観バイアスらっかんバイアス
楽観バイアスは、自分に関する将来を他人より良く見積もる傾向です。計画の誤謬、過信、リスク軽視を支えるといった側面が挙げられます。健康リスクの過小評価もあります。
- リベルタリアン・パターナリズムリベルタリアンパターナリズム
リベルタリアン・パターナリズムは、選択の自由を残しつつ、人をより良い方向へナッジする公共哲学です。サンスティンとサンスタインが提唱です。強制ではなくアーキテクチャで支援します。
- 利用可能性ヒューリスティックりようかのうせいヒューリスティック
利用可能性ヒューリスティックは、思い出しやすい情報ほど頻度や確率が高いと判断する短絡法です。メディア報道・個人経験がリスク認知を左右します。確証バイアスと結びつきやすいです。
- 連想の誤謬れんそうのごびゅう
連想の誤謬は、二つの条件が同時に成り立つ確率が、片方だけの確率より高いと誤ることです。リンダは銀行員でフェミニスト——の方が銀行員より「らしい」と選ばれる実験です。代表性による判断、詳細な物語の説得力、論理学の積の確率といった側面からも、この概念が研究されています。