認知心理学
56 語
- 暗黙記憶あんまつきおく
暗黙記憶は、意識的な想起なしに、過去の経験が行動や判断に影響する記憶です。プライミング、手続き記憶、条件反射などといった側面が挙げられます。明示的記憶とは別経路です。
- 意味記憶いみきおく
意味記憶は、個人的なエピソードから切り離された、事実・概念・言語の知識の記憶です。「パリはフランスの首都」——いつ覚えたかは不明でも知っています。ネットワークモデル、スキーマ・プロトタイプ、認知地図の一部といった側面からも、この概念が研究されています。
- エピソード記憶エピソードきおく
エピソード記憶は、自分が経験した出来事を、時間・場所・文脈とともに記憶するシステムです。自己と結びついた回想です。海馬が重要です。
- 演繹推論えんえきすいろん
演繹推論は、前提が真なら結論が必ず真になる論理的推論です。シラログス(三段論法)です。数学、法の形式推論といった側面が挙げられます。
- オペラント条件づけオペラントじょうけんづけ
オペラント条件づけとは、行動の結果として与えられる報酬や罰によって、その行動の出現頻度が変わる学習のことです。スキナーが体系化しました。正の強化、負の強化、正の罰、負の罰を区別し、報酬の出し方(強化スケジュール)も行動に影響します。
- 確証バイアスかくしょうバイアス
確証バイアスとは、自分の信念や仮説を支持する情報ばかり集め、反証を軽視してしまう傾向のことです。意思決定の質を下げる代表的な認知バイアスです。自分に都合のよいニュースだけを見たり共有したりしやすく、SNSのフィルターバブルと相まって強まることもあります。
- 活性化拡散かっせいかかくさん
活性化拡散は、記憶ネットワークで一つの概念が活性化すると、関連概念へ活性化が伝わるモデルです。意味記憶の検索、プライミング、連想の説明に使われるといった側面が挙げられます。セマンティックネットワーク、false memoryの連鎖、創造の連想段階といった側面からも、この概念が研究されています。
- カテゴリ化カテゴリか
カテゴリ化は、対象を共通のグループに分類し、効率的に思考・記憶する認知過程です。基本レベルカテゴリ(「犬」)が最も使われやすいです。学習と推論の基盤です。
- 干渉説かんしょうせつ
干渉説は、他の記憶が学習や検索を妨げることで忘却が起きるとする説です。順向干渉(古いが新しいを妨げる)と逆向干渉(新しいが古いを妨げる)です。類似リストの学習、文脈変化で軽減、多重リスト学習の困難といった側面からも、この概念が研究されています。
- 帰納推論きのうすいろん
帰納推論は、観察された事例から一般法則や仮説を導く推論です。結論は確率的です。科学の発見と日常の予測の基盤です。
- 偽記憶ぎきおく
偽記憶は、実際には起きていない出来事について、確信を持って記憶している状態です。ロフトゥスの研究で、誤情報や想像が記憶に混入しうることが示されました。証人証言の危うさ、ソースモニタリングの失敗、治療上の倫理問題といった側面からも、この概念が研究されています。
- 検索けんさく
検索は、長期記憶から情報を取り出す認知過程です。想起(再生)と再認があります。検索手がかり・状態・文脈が成功率に影響します。
- 限定合理性げんていごうりせい
限定合理性は、人は情報・時間・認知能力が限られているため、最適ではなく満足化する選択をするという考え方です。サイモンが提唱です。新古典派の完全合理性への現実的代替です。
- 古典的条件づけこてんてきじょうけんづけ
古典的条件づけとは、もともと反応を引き起こす刺激と、中性の刺激を繰り返し組み合わせることで、中性刺激だけでも同じ反応が起きるようになる学習です。パブロフの犬の実験が有名です。無条件刺激・無条件反応・条件刺激・条件反応が基本要素で、消去や一般化、弁別といった過程も含みます。
- 再生さいせい
再生は、手がかりなし、または最小限の手がかりで記憶を自ら思い出す検索形式です。再認より難しいが、学習の定着を測るのに有効です。自由想起、順序再生などといった側面が挙げられます。
- 再認さいにん
再認は、提示された刺激が以前経験したものかどうかを判断する検索形式です。再生より容易なことが多いです。多肢選択問題は再認に近いです。
- システム1と2システム1と2
システム1と2は、カーネマンによる二重過程のラベルで、1は速く直感的、2は遅く努力的な思考です。バイアスは主にシステム1のヒューリスティック、修正はシステム2の監視が必要です。認知リフレクション・テスト、疲労でシステム2が弱まる、行動経済学の普及概念といった側面からも、この概念が研究されています。
- 舌先現象したさきげんしょう
舌先現象は、知っているはずの語が一時的に思い出せず、しかし取りそうな感覚がある状態です。部分的な検索成功です。音韻情報は近いが語が出ありません。
- 初頭効果しょとうこうか
初頭効果は、リストの先頭付近の項目が、後続よりよく記憶される現象です。長期記憶への十分な符号化(リハーサル時間)が説明として有力です。新近効果と系列位置効果、面接の第一印象、プレゼンの冒頭設計といった側面からも、この概念が研究されています。
- 新近効果しんきんこうか
新近効果は、リストの末尾付近の項目が、直後の再生で優位に思い出される現象です。短期記憶(ワーキングメモリ)への保持が説明に使われます。時間を空けると弱まります。
- 心的回転しんてきかいてん
心的回転は、心の中で物体の向きを回転させて比較する空間認知能力です。シェパードとメツラーです。反応時間が回転角度に比例することが示されました。
- 状態依存記憶じょうたいいぞんきおく
状態依存記憶は、学習時と同じ生理的・心理的状态にあると、記憶の検索が改善する現象です。薬物状態、気分、文脈の一致効果と関連といった側面が挙げられます。文脈依存記憶、試験不安と学習環境、再現性の注意といった側面からも、この概念が研究されています。
- スキーマスキーマ
スキーマは、過去の経験から形成された、世界・自己・他者についての認知的枠組み(知識構造)です。新情報の解釈を早めるが、ステレオタイプや記憶の歪みも生みえます。脚本(レストランでの行動順序)、自己スキーマ、認知療法で修正対象といった側面からも、この概念が研究されています。
- ストループ効果ストループこうか
ストループ効果は、色名の意味と文字の色が一致しないとき、色の命名が遅くなる現象です。自動的な読みが色判断を妨害します。注意制御、競合の古典的実験といった側面が挙げられます。